事業再生 製造業における原価計算

製造業の事業再生の局面では、製品単位当たりの原価計算を厳密に行うことが要請されます。規模が比較的小さな製造業においては、原価計算の仕組みがとられていないことがほとんどです。このような企業が再生を行うに当たっては、原価計算を行うことを各金融機関等の利害関係者から要求されます。

まず、月次での棚卸が行われていないケースがほとんどですが、毎月行うことを要求されます。つまり、月次での損益を確定するためには棚卸によって払い出し数量を正確に把握する必要があるためです。この際に経営者の方からは相当の抵抗を受けることが多いのが実情です。製造業で再生を求めてくるようなケースでは、操業度は高いが利益が出ずに資金がショートするのが多いため、作業的な負担を理由として抵抗があるのが多いのです。しかし、まずは在庫の棚卸をきっちり行える体制をつくることを行ってください。これには半年程度かかってしまうケースも多々あります。

次に、材料の出庫を管理できるようなシステムを構築し、どの材料が何の製品に用いられたかを把握するようにできなければなりません。また労働時間も作業の分析が行えるようにどの製品に対しての何の作業かをわかるように記録する必要があります。

以上のような地道な作業を通し、製品群別の損益、売上相手先別の損益を把握し、採算の悪いところの対処を考えることを行います。

書くのは簡単ですが、実際に行うのは本当に大変です。しかし再生のためには必要な作業ですので、適切な専門家の助言のもとで再生していきましょう。

事業再生に関して

木村太哉

事業承継その3 

名義株主の調査と対応策

商法では、会社設立時の発起人(会社設立企画者として定款に署名捺印した者 形式説)の数が7名以上であったことから、この人数を形式的に満たすために名義を借りる場合があった。この名義人の所有する株式を名義株式という。

誰が真の株主であるかを判断するには、「出資金額の払込みの事実」「配当金の受け取りと所得の申告状況」「株主総会出席・権利行使の実績」「株券」等を検討することとなる。

また、「覚書」を締結して真実の株主に帰属する旨の署名を得ることも必要である。

名義株が存在する場合には、早急に対策を行う必要がある。まずは、株主の状況を確認し、後継候補者に株式が集中されるように仕組みを作っていくことが必要である。

事業承継、名義株式に関して

木村太哉

事業承継その2 親族内承継におけるギャップ分析

事業承継において経営者の子らの親族内承継を行う場合には以下のような問題が生じてきます。

まず現経営者と後継者との間には親子関係から生ずる気恥ずかしさが邪魔をするケースが多々あります。そのため現経営者の考えと後継者の考えのすり合わせがうまくいかないことが発生してしまうケースが見受けられます。

このような場合には、第三者たる専門家が間に入りファシリテーターとなることが必要です。現経営者と後継者の対話を促進させることの役割も担っているといえましょう。

そこで、後継者と現経営者の抱く事業の将来像を把握するのですが、この際には事業価値源泉の分析結果を基にします。また、現在の会社の状況(事業価値源泉の分析結果を基に把握)と会社のビジョンのすり合わせを行い、現状のギャップを把握します。そのことで、現時点での課題が見つけられることとなるのです。

ここまでで、総体としてのやるべきことを明確化することができます。この後には、個別的に「経営理念の承継」「後継者の経営能力の向上」「社内外の関係者への関係構築」「社内体制の整備」を行い、相続とも関係してきますが、「経営支配権の承継」「事業用資産の承継」となってきます。

木村太哉

事業承継その1 事業価値源泉の把握

事業承継を行いたいと考える場合には、まず何をやればいいのかと考える方が多いのではないでしょうか?

一般的には、「誰に引継ぎを行うのか、その後継者候補の育成はどうすればいいのか?」「自主廃業をしたほうがいいのでは?」「承継の方法には、親族内承継・親族外承継・M&Aがあるが、どれがいいのか?」

といった点に焦点がいきがちです。

しかし、まずは対象となる事業の価値源泉を把握することから始める必要があるのではないでしょうか。

なぜなら、事業規模の小さな会社では、利益を生み出す源泉が、経営者個人の人的つながりや才覚といったものに多分に依存しているケースが多いからです。その場合には、承継したとしても従前と同様の経営成績を残すことは極めて困難となります。

それではいかなる手法を用いて事業価値の源泉を把握するのでしょうか?

一般的にはコンサルの際に用いるフレームワークが参考になります。SWOT分析、3C分析、バリューチェーン分析、ファイブフォース分析といったマイケル・ポーターが「競争の戦略」の中で提唱していたものがメインとなります。

まずは、以上のようなステップを経ることが事業承継の第一段階といえます。

 

事業承継・事業再生支援に関して

木村太哉

「戦略論の本質」 野中郁次郎他 より

「実践を通じて真理を発見し、さらに実践を通じて真理を実証し、真理を発展させる。感性的認識から能動的に発展して、理性的認識に到達し、さらに理性的認識から、能動的に革命実践を指導し、主観世界を改造する。実践、認識、再実践、再認識、このような形態は、循環往復してきわまるところがなく、しかも実践と認識の一循環ごとの内容はすべてより高い程度に進む。これがすなわち、弁証法的唯物論の認識論のすべてであり、こればつまり弁証法的唯物論の知行統一観である」 実践論 毛沢東

 

非上場株式の株価の引下げ

非上場株式の場合、「純資産価額」が高額となる場合があります。

この場合には、いくつかの方法によって株価を引き下げることが考えられますが、今回は、「第三者割当増資」を用いた方法を紹介したします。

特に、従業員持ち株会をつくり、従業員に対する第三者割当増資をおこなうことも検討してみたらいかがでしょうか。

ポイントとしては、「従業員への第三者割当増資」では、「配当還元価額」での増資引き受けが可能です。このため、純資産価額と配当還元価額の差額分だけ、純資産価額を減少させることができるということです。

ただし、議決権との兼ね合いや、招集通知といった会社法上の要求による躊躇もでてくるかもしれません。

事業承継対策として、まずは御社の「株価算定」を行ってみてはいかがでしょうか?

 

木村太哉

犯罪構成要件の理論 小野清一郎

「犯罪とは悪である。そして律は刑を以てその悪を匡さんとするものである。それ故に其は行為者を離れて考へられない。いはば行為者において行為を見るのである。二罪以上倶発するとき、其の重きものを以て論ずるは、蓋しその重き罪を以て行為者の反道義性の程度に相応する所以と考えられたものであらう。東洋刑法は或る意味において主観主義であり、行為者刑法であるとも謂へる」(p374)

小野博士は、団藤重光博士の師匠にあたる人物であり、刑法における日本の構成要件理論を確立された大家である。同時期に京都で佐伯博士が構成要件理論を導入されているが自由主義的思想から戦前においては主流とはなりえなかった。

「行為とは、行為者人格の主観的現実化である」 団藤重光

スモールビジネス・マーケティング 岩崎邦彦 著  ②

小さな店に惹かれる人々の3つの特性 ①本格志向 ②人的コミュニケーション志向 ③関係性志向 この特性から小規模小売業のマーケティングへ戦略的示唆が与えられる。

・3タイプのマーケティング・プログラムの構築

・「人的コミュニケーション」の重視

・「本格化マーケティング」と「人的コミュニケーション重視型マーケティング」の融合

・「関係性重視型マーケティング」と「人的コミュニケーション重視型マーケティング」の融合

「小さな店に惹かれる人々」は、小売店のこだわり、個性、専門性を顕著に重視するセグメントである。

→競争優位のコア基盤の確立 「目に見える資源」「目に見えない資源」専門知識、独自の経験、ノウハウ、顧客の信用、熟練技術、こだわり等で差別化のキーとなるものである。 「小規模特性」

 

木村太哉

会社分割

会社分割を行う場合に限らず、組織再編を行う場合には、「企業結合会計」で要求される会計上の処理と、税務上の処理との不統一が問題となる。

以前、上場会社の子会社に対する吸収分割では、「共通支配下」の取引であるため、会計上は、「簿価引継ぎ」であった。一方、税務上は適格要件を満たさないため、「時価」での引継ぎがなされることとなった。会計上の開示要請がない場合には、通常は「適格」として、簿価引継ぎを行う誘因が高い。ただし、資産調整勘定の5年償却も魅力的であることからこれとの比較を行うことにはなろう。

しかし、上場会社では企業結合会計の要求もあることから、時価をいかにとるかが問題とされた(会計上、税効果差額の問題が生じるため)。また、資産除去債務等の扱い、税効果会計等の検討も必要である。

公認会計士は企業結合会計の観点からの指摘を行うが、税理士は税務上の適格要件の検討等の税金計算を重視する。会計の目的を考えると、税金計算とは別建てですべての企業が行っていく方向があるべき方向ではないかと思っている。

木村太哉

英会話教室

昨日、英会話教室に入校してきました。

久しぶりの英語なので、言ってる内容はわかるのですが、言葉がでてこないですね。以前、村上春樹のエッセーで英会話に関して書かれたものがあったのを記憶しています。性格的に会話が日本人同士でも続かないのに、英語ができるからと言って英語での会話が続くってことはないといったような内容だったかと覚えてます。

確かに、会話能力という点がまずクリアすべき点っていうことは思います。

簡単な英語から開始して、次第に業務レベルのまでもっていこうと考えていますが、続くことかどうか・・・。とりあえず、米国公認会計士くらいは取得しておいて、国際税務関係にも対応できるようにしたいとは思っています。

平成24年度の一つの目標にしてみました。後、今年は、不動産鑑定士の実務要件を満たすように修習を開始すること決定しています。業務のもう一つの柱が3年後くらいにはできてくるといいですが。

木村太哉