2012 年 5 月

農耕型ビジネス

「食には3つの味がある。先味、中味、後味」一番大切なのは、後味である。とのこと。

後味に惹かれて再度その商品・食品を購入することとなるためである。

これは全ての業界においてもいえることで、何かを解約する際にその印象というものが重要となってくる。もし、その印象がきわめて悪い場合には今後に取引が続くことはありえないからである。

不況期のビジネスでは、既存の取引先を深く掘り返す農耕型ビジネスが重要といわれる。

今一度自らの取引先を見返し、満足を与えられているのか再考しなければならない。

 

木村太哉

渡邉好唯先生

昨日商工会連合会のエキスパートバンクで㈱トライフィットの渡邉好唯先生とお話しする機会をいただきました。

先生は自らが経営者として10年超にわたり活動され実績を数値で表して指導していただけるので説得させられます。

私の様な理論から入っていく人間にとってはとても見習うことが多かったです。また決算書だけでなくその内訳書まで従業員やその他の方の見せて、目標と結果のギャップを把握されていくことはなかなかできないことだと思います。大企業の役員でさえ個別の報酬の開示には相当な抵抗があり総額での開示しかされない中で、中小企業で自らの報酬まで開示して会社を運営していくのは素晴らしいことと感じます。

とてもよい勉強で、出会いがあったと社長の森とも話していました。

実績を残される方はやはり現場重視ということを改めて思います。私が勤務していた税理士法人の理事長も「現場が第一で、自分は軍曹で先頭に立って指揮をする」といっていた意味が自らが経営者の立場になって実感を伴ってわかってきました。

あとパーソナリティという点もとても重要だと感じ、今後の方向性を考える参考にもなりました。私の持論としては人格に関しては素質と環境の相互作用によって規定されてくるもの(団藤説)であるため、後年になって根本的な変更はできないと思っています。

そこで自分の不足するところを別の人の助けを得る。そうやって組織が成り立っていくのではないかと考えています。将来的に東海地域ナンバーワンの会計ファームを作り、世界に向けて活動していく。そんな姿を思い浮かべています。

 

木村太哉

 

 

瑞穂市商工会 同志社大学法学部長・法学研究科長 村田 晃嗣 先生の講演

昨日、瑞穂市商工会が主催する講演が瑞穂市総合センターで開催されました。講演者は同志社大学の村田先生でした。

そこでは、世界の情勢とリーダーシップに関しての講演を拝聴いたしました。

要点としては

1.現在のアメリカは中東からアジアに重点を移してきている。今後10年間はアジア重視となるが、イランの動向によっては再度中東に勢力を集中する恐れがあるため、それは阻止しなければならないこと

2.現在の日本の状況は、「高齢化社会」を過ぎて、「高齢社会」であること。また今後はさらにその状況が悪化し、世界で経験したことのない社会構成となること。

3.1968年から2011年まで日本は世界経済の2位の地位を保ってきたが、それは中国にとってかわられ、中国は30年遅れで日本と同じ発展をしていること。そして、今後は中国経済が現在の規模の2倍に成長することも考えられる。

4.個人金融資産のうち500兆円が相続によって移転されるが、これは都市部に移住した世代へと引き継がれるため地方と都市部との格差が拡大する恐れが強い。

5.アメリカの1%の富裕層が金融ストックの富の70%を保有していること

6.格差が開いたことが問題となるが、貧富の格差、学歴格差その他あるが、現在で最も重要なのは将来に対する「希望」が見えない「希望格差」があること。

7.希望の定義は、「欲望」「願望」ではない、公共性を持った実現可能なもの (正確には記憶できませんでした。)

8.リーダーシップとは、フォロワーが存在していることが絶対条件であること。

以上のような内容でした。「希望格差社会」と言われていますが、確かにそんな気がします。高度成長期には将来の道筋が明らかであり、いわゆる一流大学、一流企業の流れに乗ってその中で我慢しながら進めば将来が約束されていたといえます。現在はすべての人に将来に対する希望が薄くなってきているようです。

特に経営者の方がたはたゆまぬ努力を重ね、日々競争の中に身を置かれています。そのような状況を一緒にともに戦っていく。そんなグループでありたいと思っています。

木村太哉

 

事業再生 製造業における原価計算

製造業の事業再生の局面では、製品単位当たりの原価計算を厳密に行うことが要請されます。規模が比較的小さな製造業においては、原価計算の仕組みがとられていないことがほとんどです。このような企業が再生を行うに当たっては、原価計算を行うことを各金融機関等の利害関係者から要求されます。

まず、月次での棚卸が行われていないケースがほとんどですが、毎月行うことを要求されます。つまり、月次での損益を確定するためには棚卸によって払い出し数量を正確に把握する必要があるためです。この際に経営者の方からは相当の抵抗を受けることが多いのが実情です。製造業で再生を求めてくるようなケースでは、操業度は高いが利益が出ずに資金がショートするのが多いため、作業的な負担を理由として抵抗があるのが多いのです。しかし、まずは在庫の棚卸をきっちり行える体制をつくることを行ってください。これには半年程度かかってしまうケースも多々あります。

次に、材料の出庫を管理できるようなシステムを構築し、どの材料が何の製品に用いられたかを把握するようにできなければなりません。また労働時間も作業の分析が行えるようにどの製品に対しての何の作業かをわかるように記録する必要があります。

以上のような地道な作業を通し、製品群別の損益、売上相手先別の損益を把握し、採算の悪いところの対処を考えることを行います。

書くのは簡単ですが、実際に行うのは本当に大変です。しかし再生のためには必要な作業ですので、適切な専門家の助言のもとで再生していきましょう。

事業再生に関して

木村太哉

事業承継その3 

名義株主の調査と対応策

商法では、会社設立時の発起人(会社設立企画者として定款に署名捺印した者 形式説)の数が7名以上であったことから、この人数を形式的に満たすために名義を借りる場合があった。この名義人の所有する株式を名義株式という。

誰が真の株主であるかを判断するには、「出資金額の払込みの事実」「配当金の受け取りと所得の申告状況」「株主総会出席・権利行使の実績」「株券」等を検討することとなる。

また、「覚書」を締結して真実の株主に帰属する旨の署名を得ることも必要である。

名義株が存在する場合には、早急に対策を行う必要がある。まずは、株主の状況を確認し、後継候補者に株式が集中されるように仕組みを作っていくことが必要である。

事業承継、名義株式に関して

木村太哉

事業承継その2 親族内承継におけるギャップ分析

事業承継において経営者の子らの親族内承継を行う場合には以下のような問題が生じてきます。

まず現経営者と後継者との間には親子関係から生ずる気恥ずかしさが邪魔をするケースが多々あります。そのため現経営者の考えと後継者の考えのすり合わせがうまくいかないことが発生してしまうケースが見受けられます。

このような場合には、第三者たる専門家が間に入りファシリテーターとなることが必要です。現経営者と後継者の対話を促進させることの役割も担っているといえましょう。

そこで、後継者と現経営者の抱く事業の将来像を把握するのですが、この際には事業価値源泉の分析結果を基にします。また、現在の会社の状況(事業価値源泉の分析結果を基に把握)と会社のビジョンのすり合わせを行い、現状のギャップを把握します。そのことで、現時点での課題が見つけられることとなるのです。

ここまでで、総体としてのやるべきことを明確化することができます。この後には、個別的に「経営理念の承継」「後継者の経営能力の向上」「社内外の関係者への関係構築」「社内体制の整備」を行い、相続とも関係してきますが、「経営支配権の承継」「事業用資産の承継」となってきます。

木村太哉

事業承継その1 事業価値源泉の把握

事業承継を行いたいと考える場合には、まず何をやればいいのかと考える方が多いのではないでしょうか?

一般的には、「誰に引継ぎを行うのか、その後継者候補の育成はどうすればいいのか?」「自主廃業をしたほうがいいのでは?」「承継の方法には、親族内承継・親族外承継・M&Aがあるが、どれがいいのか?」

といった点に焦点がいきがちです。

しかし、まずは対象となる事業の価値源泉を把握することから始める必要があるのではないでしょうか。

なぜなら、事業規模の小さな会社では、利益を生み出す源泉が、経営者個人の人的つながりや才覚といったものに多分に依存しているケースが多いからです。その場合には、承継したとしても従前と同様の経営成績を残すことは極めて困難となります。

それではいかなる手法を用いて事業価値の源泉を把握するのでしょうか?

一般的にはコンサルの際に用いるフレームワークが参考になります。SWOT分析、3C分析、バリューチェーン分析、ファイブフォース分析といったマイケル・ポーターが「競争の戦略」の中で提唱していたものがメインとなります。

まずは、以上のようなステップを経ることが事業承継の第一段階といえます。

 

事業承継・事業再生支援に関して

木村太哉

「戦略論の本質」 野中郁次郎他 より

「実践を通じて真理を発見し、さらに実践を通じて真理を実証し、真理を発展させる。感性的認識から能動的に発展して、理性的認識に到達し、さらに理性的認識から、能動的に革命実践を指導し、主観世界を改造する。実践、認識、再実践、再認識、このような形態は、循環往復してきわまるところがなく、しかも実践と認識の一循環ごとの内容はすべてより高い程度に進む。これがすなわち、弁証法的唯物論の認識論のすべてであり、こればつまり弁証法的唯物論の知行統一観である」 実践論 毛沢東

 

非上場株式の株価の引下げ

非上場株式の場合、「純資産価額」が高額となる場合があります。

この場合には、いくつかの方法によって株価を引き下げることが考えられますが、今回は、「第三者割当増資」を用いた方法を紹介したします。

特に、従業員持ち株会をつくり、従業員に対する第三者割当増資をおこなうことも検討してみたらいかがでしょうか。

ポイントとしては、「従業員への第三者割当増資」では、「配当還元価額」での増資引き受けが可能です。このため、純資産価額と配当還元価額の差額分だけ、純資産価額を減少させることができるということです。

ただし、議決権との兼ね合いや、招集通知といった会社法上の要求による躊躇もでてくるかもしれません。

事業承継対策として、まずは御社の「株価算定」を行ってみてはいかがでしょうか?

 

木村太哉

犯罪構成要件の理論 小野清一郎

「犯罪とは悪である。そして律は刑を以てその悪を匡さんとするものである。それ故に其は行為者を離れて考へられない。いはば行為者において行為を見るのである。二罪以上倶発するとき、其の重きものを以て論ずるは、蓋しその重き罪を以て行為者の反道義性の程度に相応する所以と考えられたものであらう。東洋刑法は或る意味において主観主義であり、行為者刑法であるとも謂へる」(p374)

小野博士は、団藤重光博士の師匠にあたる人物であり、刑法における日本の構成要件理論を確立された大家である。同時期に京都で佐伯博士が構成要件理論を導入されているが自由主義的思想から戦前においては主流とはなりえなかった。

「行為とは、行為者人格の主観的現実化である」 団藤重光