事業再生 製造業における原価計算

製造業の事業再生の局面では、製品単位当たりの原価計算を厳密に行うことが要請されます。規模が比較的小さな製造業においては、原価計算の仕組みがとられていないことがほとんどです。このような企業が再生を行うに当たっては、原価計算を行うことを各金融機関等の利害関係者から要求されます。

まず、月次での棚卸が行われていないケースがほとんどですが、毎月行うことを要求されます。つまり、月次での損益を確定するためには棚卸によって払い出し数量を正確に把握する必要があるためです。この際に経営者の方からは相当の抵抗を受けることが多いのが実情です。製造業で再生を求めてくるようなケースでは、操業度は高いが利益が出ずに資金がショートするのが多いため、作業的な負担を理由として抵抗があるのが多いのです。しかし、まずは在庫の棚卸をきっちり行える体制をつくることを行ってください。これには半年程度かかってしまうケースも多々あります。

次に、材料の出庫を管理できるようなシステムを構築し、どの材料が何の製品に用いられたかを把握するようにできなければなりません。また労働時間も作業の分析が行えるようにどの製品に対しての何の作業かをわかるように記録する必要があります。

以上のような地道な作業を通し、製品群別の損益、売上相手先別の損益を把握し、採算の悪いところの対処を考えることを行います。

書くのは簡単ですが、実際に行うのは本当に大変です。しかし再生のためには必要な作業ですので、適切な専門家の助言のもとで再生していきましょう。

事業再生に関して

木村太哉