犯罪構成要件の理論 小野清一郎

「犯罪とは悪である。そして律は刑を以てその悪を匡さんとするものである。それ故に其は行為者を離れて考へられない。いはば行為者において行為を見るのである。二罪以上倶発するとき、其の重きものを以て論ずるは、蓋しその重き罪を以て行為者の反道義性の程度に相応する所以と考えられたものであらう。東洋刑法は或る意味において主観主義であり、行為者刑法であるとも謂へる」(p374)

小野博士は、団藤重光博士の師匠にあたる人物であり、刑法における日本の構成要件理論を確立された大家である。同時期に京都で佐伯博士が構成要件理論を導入されているが自由主義的思想から戦前においては主流とはなりえなかった。

「行為とは、行為者人格の主観的現実化である」 団藤重光